粘土瓦(陶器瓦・いぶし瓦)は、メンテナンスフリーと言われていますが、本当にメンテナンスはいらないのでしょうか?
屋根は建物や外壁を守る重要な役割がありますが、普段は目につかない場所であるため、屋根の寿命やメンテナンスの時期などを考えることはなかなかないですよね。
本記事では、粘土瓦などの屋根材の特徴や劣化した場合の症状、メンテナンス時期や費用を解説しています。屋根に詳しくない人でも、わかりやすいように解説していますので、ぜひ参考にしてください。
▼記事を読めばこのようなことがわかります!
・粘土瓦(陶器瓦・いぶし瓦)のメンテナンスフリーの意味
・主要な屋根材の特徴とメンテナンス時期の症状
・主要な屋根材のメンテナンスの時期と費用
目次
1.屋根材で異なる寿命とメンテナンス時期
粘土瓦(陶器瓦・いぶし瓦)は、メンメンテナンスフリーだと思っている方が多いですが、厳密に言うと実は定期的に部分的なメンテナンスや補修が必要です。
確かに粘土瓦は非常に丈夫で耐久性も高いので、瓦自体はメンテナンスフリーと言えるでしょう。但し、本棟や隅棟、壁などといった各所で使った漆喰やなんばんなどのその他の屋根材は粘土瓦より早く劣化します。ですので、定期的なメンテナンスが必要となるのです。
粘土瓦(陶器瓦・いぶし瓦)の寿命やメンテナンス時期を知らないままに劣化を放置すると後での修理が大変です。屋根の修理費用も高くなってしまいます。メンテナンスフリーの言葉を鵜呑みにせず、定期的にメンテナンスをしましょう。粘土瓦(陶器瓦・いぶし瓦)に加えて、他の主要な屋根材の寿命とメンテナンス時期も紹介します。
屋根材 | 寿命(耐用年数) | メンテナンス時期 |
粘土瓦(陶器瓦・いぶし瓦) | 50~100年 | 20~30年 |
セメント瓦 | 30~40年 | 10~15年 |
スレート屋根 | 20~30年 | 10~15年 |
アスファルトシングル | 20~30年 | 10~15年 |
ガルバリウム鋼板 | 20~30年 | 10~15年 |
粘土瓦は寿命もメンテナンスまでの期間も長いです。屋根材はメンテナンス時期にきちんと補修することで長く使用することができます。次の章からは、粘土瓦(陶器瓦、いぶし瓦)、セメント瓦、スレート屋根、アスファルトシングル、ガルバリウム鋼板について、それぞれ詳しく解説していきます。
2.粘土瓦(陶器瓦、いぶし瓦)
2-1.粘土瓦(陶器瓦、いぶし瓦)の特徴
粘土瓦は、メンテナンスをしっかり行うことで、50年~100年使い続けることが可能な高い耐久性が特徴です。
原料に粘土が使用されている粘土瓦は、粘土で瓦の形を作り、窯で焼き上げます。焼き物の表面を覆うガラス質の液体である釉薬(うわぐすり)を塗った後に焼き上げたものが「陶器瓦」、釉薬を塗らずに素焼きしたものが「いぶし瓦」です。
2-2.粘土瓦(陶器瓦、いぶし瓦)のメンテナンス時期の症状
屋根の頂上にある「棟瓦(むねがわら)」を固定している白いセメントのようなものが「漆喰(しっくい)」と呼ばれる部分ですが、約20年程度でヒビ割れや剥がれが起こります。
漆喰の劣化を放置すると、棟瓦のズレや歪みが生じてしまい、雨漏りの原因となります。補修工事(漆喰の詰め直し)工事は、約5,000円/mです。棟瓦をすべて取り外し、もう一度組み直す棟積み直し工事は、約15,000円/mです。20年〜30年に1回のメンテナンスの費用は、まとめて修理するとおよそ約20万円〜50万円です。屋根の形状などが複雑になればなるほど費用は高くなり、シンプルであればある程、メンテナンスコストは抑えられます。
<メンテナンスが想定される修理一覧>
修理名 | 費用 | 作業内容 |
瓦交換 | 5,000円/ヶ所〜 | ヒビ・割れの瓦の交換・コーキング補修 |
棟修理 | 15,000円/m〜 | 既存瓦を一度解体し、作り直す |
谷交換 | 10,000円/m〜 | 新しい谷に交換する |
漆喰補修 | 5,000円/m〜 | 剥がれた漆喰の塗り直し |
3.セメント瓦
3-1.セメント瓦の特徴
セメント瓦は、その名の通りセメントが主成分で、工場などで瓦の形に成形しています。セメント瓦は、劣化しないように防水塗装がされています。現在、セメント瓦はほとんど生産されておらず、同じ形の瓦を探すのが非常に難しくなっています。同じ形の瓦がない場合は瓦を加工したり、板金などで代用します。
▼セメント瓦についてもっと知りたい方はコチラからどうぞ。
セメント瓦の歴史を紹介
3-2.セメント瓦のメンテナンス時期の症状
セメント瓦は、塗装が剥がれてくることでセメントがむき出しになり、紫外線や雨風の影響でヒビ割れや欠け、苔やカビの発生、色あせなどにつながります。そのため、セメント瓦は10年~15年程度で塗装を行う必要があります。費用は約3,000円/㎡〜です。
4.スレート屋根
4-1.スレート屋根の特徴
スレート屋根は、屋根専用に板状・波板状に作られたセメントが主成分の建材で、施工がしやすくリーズナブルな屋根材です。人工(化粧)スレート、カラーベスト、コロニアルとも呼ばれ、近年新築された建物に多く使用されています。
4-2.スレート屋根のメンテナンス時期の症状
スレート屋根は、薄く加工されているため、定期メンテナンスをせずに放置していると、約10年で屋根材の色あせやズレ、反り、割れ、欠けなどの劣化症状が発生します。色あせが出てきた場合、再塗装することで、防水効果を維持させることができます。費用は約3,000円/㎡〜です。屋根が部分的に破損していた場合は、破損した部分だけを10,000円/枚〜で交換できます。
また、頂上に「棟板金(むねばんきん)」と呼ばれる部分があり、約10年で固定している釘が浮いてきます。棟板金の交換は、約3,000円/m〜です。棟板金の中身の貫板(ぬきいた)と呼ばれる部分が腐っていたり、変形している場合は交換が必要で、約3,000円/m〜です。もしくは、約20年〜30年を目安に既存の屋根に新しい屋根材を覆い被せる「カバー工法」も多くなっています。費用は7,000円/㎡〜です。
5.アスファルトシングル
5-1.アスファルトシングルの特徴
アスファルトシングルは、ガラス基材にアスファルトを浸透させ、表面を石粒で覆っている建材です。北米で人気が高く、ヒビ割れしたり、錆ついたりしないとても軽い屋根材です。
5-2.アスファルトシングルのメンテナンス時期の症状
アスファルトシングルは、覆っている石粒が経年劣化で少しずつ剥がれます。石粒が剥がれただけでは、雨漏りは起きませんが、景観が悪くなります。劣化が進むと、剥がれ、浮き、色あせ、苔やカビの発生などが見られるようになり、屋根材が破れやすくなります。
劣化を防ぐためには、約10年〜15年を目安に塗装が必要です。費用は3,000円/㎡〜です。もしくは、約20年〜30年を目安に既存の屋根に新しい屋根材を覆い被せる「カバー工法」も多くなっています。費用は7,000円/㎡〜です。
6.ガルバリウム鋼板
6-1.ガルバリウム鋼板の特徴
ガルバリウム鋼板は、アルミニウム・亜鉛・シリコンなどから作成された建材で、軽くて錆びにくく、耐熱効果、耐久性が高い屋根材です。
6-2.ガルバリウム鋼板のメンテナンス時期の症状
ガルバリウム鋼板は、粘土瓦と同様に耐久性が高くメンテナンスフリーだと思っている方もいますが、実際にはそうではありません。経年劣化で、色あせや傷、錆の発生があります。10年~20年で、表面のメッキ層を保護する塗膜の補修が必要です。塗料の補修は、塗料の種類にもよりますが、約3,000円/㎡〜です。
7.まとめ:粘土瓦を長く保つために大切なこと
今回は、粘土瓦などの屋根材の特徴とメンテナンスについて解説しました。粘土瓦(陶器瓦・いぶし瓦)は、メンテナンスフリーと言われていますが、長く保つためにはきちんとしたメンテナンスや補修が定期的に必要です。
屋根の劣化が進み補修できないレベルになると、今の屋根を新しい屋根に取り換える全面葺き替えが必要になります。屋根の全面葺き替えは、約100万~200万円程度かかる大がかりな工事です。屋根を長期間より良い状態に保つために、ぜひ一度ご自宅の屋根の状態を把握し、メンテナンスを検討してみてはいかがでしょうか。
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