厚型スレートってどんな瓦?特徴と材質について解説します。

厚型スレート
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厚型スレートってどんな瓦?

今回はこんな疑問にお答えします。

本記事の内容

・厚型スレートとは?
・厚型スレートの製造方法
・厚型スレートの特徴
・厚型スレートのメリット・デメリット

厚型スレートとはセメント瓦の一種です。

以前は、陶器瓦より安く、デザインも洋風だったことから幅広い地域で使用されました。

現在はセメント瓦の製造の終了に伴い、新しく使うことはないですが、既存の屋根で見かけることがあります。

この記事では、厚型スレートの歴史や特徴について解説しているので、興味のある方は是非ご覧ください。

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目次

厚型スレートとは

厚型スレートとは、通常のスレート屋根材より厚みがあるセメント系の屋根材です。

別名セメント瓦やモニエル瓦とも呼ばれています。瓦と同じように厚みがあることから、断熱性・遮音性・耐火性が高いです。

厚型スレートの歴史

ヨーロッパ

セメント瓦の歴史は古く、世界で初めて製造されたのは19世紀時代のヨーロッパからだと言われています。当時のセメント瓦は手作りで、型にはめて成形する技法はありませんでした。

機械による厚型スレートの製造は20世紀初頭に英国から始まり、日本では1939年から製造が始まりました。

当時、太平洋戦争直前で物資不足となり、石綿の配給停止を機に厚型スレートの生産が始まったと言われています。

生産に勢いづいた厚型スレートは、第二世界大戦後も陶器瓦の代わりとして注目され、昭和30年代以降から20世紀末まで、主要の屋根材として活躍します。

厚型スレートの材料と製造方法

工場

厚型スレート材質はセメントに砂を混ぜたものを、平板状に圧力成形しています。

セメントに砂を混ぜ合わせ水で練り合わせたものをモルタルと呼び、混合比は1:2から1:3程度。この時、余分な水分を脱水するため密度が高く、強度が高い製品に仕上がっています。

厚型スレートを圧力成形する際には、大量のモルタルを型に流し込みます。こうすることで瓦に厚みを持たせ、「厚型」という名前が生まれました。

城北瓦 スレート材
城北瓦 厚型スレート

通常のスレートの厚さは5ミリ程度に対し、厚型スレートの厚さは3倍の15ミリ程度あります。

密度を高め、強度を高める他に、スレートそのものの厚みでさらに強度が増しています。成形後、養生と呼ばれる工程でもう一段階セメント強度を上げます。養生が終了した後、塗装を施します。

この時使用される塗料は、アクリル塗料、水性アクリルシリコン塗料、釉薬です。吹き付け塗装することで完成です。塗装が施された後、市場に出荷されます。

厚型スレートの特徴

厚型スレートのメリット、デメリットを紹介します。

厚型スレートのメリット

<メリット>
①:陶器瓦より価格が安かった
②:耐久性に優れていた
③:デザイン性に優れていた

①:陶器瓦より価格が安かった

以前の厚型スレートの価格は、陶器瓦よりも2割ほど安く購入できました。

これは、製造工程の違いによります。以前の陶器瓦は一枚一枚窯で焼くのに対し、厚型スレートは一度にプレス処理していたため大量生産が可能だったからです。

このため、一枚あたりの製造単価がが陶器瓦より安くできました。

② :耐久性に優れていた

脱水圧力処理をするため強度があり、以前の通常スレート材と比べると耐久性に優れています。さらに、セメントという材質の特異性ゆえに、耐火性にも優れていました

③ :デザイン性に優れていた

厚型スレートの形は和洋風どちらの建築物にもフィットし、好きな色に塗装できる自由度の高さも人気だった理由です。

こうして、厚型スレートは昭和初期から二十世紀末頃まで、新築住宅、屋根リフォームの屋根材として使用されました。

ところが1998年頃から急速にシェアを失います。

それは、以下のデメリットが大きな理由となります。

厚型スレートのデメリット

<デメリット>
①:陶器瓦との価格差異が無くなった
②:陶器瓦より耐久性が劣る
③:現在は製造が終了

デメリット①:陶器瓦との価格差異が無くなった

もともと厚型スレートの最大のメリットは価格の安さでした。

しかし、これまで手の届きにくかった陶器瓦が大量生産し、陶器瓦の単価が大幅に下がります。価格差が無くなったことでのメリットを失いました。

デメリット②:陶器瓦より耐久性が劣る

厚型スレートは、スレート材の中では耐久性が高いですが、陶器瓦より劣ります。

厚型スレートの耐久年数が約30年に対し、陶器瓦は約50年以上。価格が逆転し、メリットが見出せない厚型スレートは窮地に追い込まれます。

デメリット③:現在は製造が終了

時代の変化に出遅れた厚型スレートは急速にシェアを落とします。最終的には製造終了となり、厚型スレートが使用されることはなくなりました。

現在では厚型スレートが製造終了となっていることから、厚型スレート屋根の修理が難しくなっています。

まとめ:厚型スレートは昭和の厳しい時代を支えた優良屋根材

厚型スレートは戦前・戦後の厳しい時代を支えた優良屋根材です。長い年月が経過した今も、厚型スレートは屋根に乗っています。

再塗装で綺麗に戻るかな?

と思う方もいますが、厚型スレートは耐久年数を既に超えているため、耐久性や防水効果が戻りません。塗装をしても、数年後に割れる可能性があります。

現在、ご自宅が厚型スレートの屋根の方は、これまでの厚型スレートに感謝しつつ、陶器瓦などへの屋根葺き替えを検討されてはいかがでしょうか。

今後の屋根リフォームの参考になれば幸いです。

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