厚型スレートってどんな瓦?【わかりやすく説明します】

厚型スレート

厚型スレートとは以前、広く使用されていた屋根材の一つです。馴染みの無い名前ですが、実物を見れば、 「あっ!この瓦の事だ!」 と気がつくのではないかと思います。

今回はこの『厚型スレート』について紹介しています。

本記事の内容
・厚型スレートの歴史
・厚型スレートの製造方法
・厚型スレートの特徴
・厚型スレートのメリット・デメリット

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目次

1. 厚型スレートとは

厚型スレート』の特徴は以下の二点です。

・通常のスレート材よりも厚みがある
・セメント系屋根材である

始めに『厚型スレート』の歴史とその製造方法についてご説明します。

1-1. 厚型スレートの歴史

ヨーロッパ

セメント瓦の歴史は非常に古く、世界で初めて製造されたのは19世紀、ヨーロッパだと言われています。

当時のセメント瓦は手作りで、現在のような型にはめて成形する技法は取られていませんでした。機械による製造は英国で20世紀初頭から行われるようになりました。日本で厚型スレートの生産が開始されたのは1939年になります。当時は太平洋戦争直前で物資が不足気味となり、石綿の配給停止を契機に厚型スレートの生産が始まったと言われています。

第二次世界大戦後も陶器瓦に取って代わる存在として厚型スレートは注目されました。昭和30年代以降も20世紀末まで主要な屋根材として使用され続けることとなります。その使用用途は新築住宅から屋根葺き替えと多方面に渡りました。

1-2. 厚型スレートの材料と製造方法

工場

厚型スレート』の材質はセメントに砂を混ぜたもので平板状に圧力成形しています。セメントに砂を混ぜ合わせ水で練り合わせたものをモルタルと言い、混合比は1:2から1:3程度です。この時、余分な水分を脱水するため密度が高くなり、強度が高くなっています。

城北瓦 スレート材
城北瓦 厚型スレート

圧力成形する際には、大量のモルタルを型に流し込みます。こうすることで瓦に厚みを持たせます。厚型という名前の由来です。通常のスレートの厚さは5ミリ程度ですが、『厚型スレート』の場合、厚さは3倍15ミリ程度になります。密度を高めて強度を高める他に、スレートそのものの厚みでさらに強度が増しています。

成形後、養生と呼ばれる工程でもう一段階セメント強度を上げます。養生が終了した後、塗装を施します。この時使用される塗料は、アクリル塗料、水性アクリルシリコン塗料、釉薬です。これら塗料を吹き付け塗装します。塗装が施された後、市場に出荷されます。

2. 厚型スレートの特徴

ここでは『厚型スレート』のメリット、デメリットをご紹介します。

2-1. 厚型スレートのメリット

<メリット>
①:当時、陶器瓦より価格が安かった
②:高密度でセメントを圧縮しているため、耐久性に優れていた
③:バリエーションに優れ、和風建築、洋風建築両方の建築物に使用可能

①当時、陶器瓦より価格が安かった

以前は陶器瓦よりも価格は2割ほど低く設定されていました。これは、製造工程の違いによります。陶器瓦は一枚一枚窯で焼くのに対し、『厚型スレート』は一括してプレス処理していたため大量生産が可能でした。このため、一枚あたりの製造単価が下がり価格も安くなったのです。

② 高密度でセメントを圧縮しているため耐久性に優れていた

脱水圧力処理をするため強度があり、以前の通常スレート材と比べると耐久性に優れています。さらに、セメントという材質の特異性ゆえに、耐火性にも優れているという特徴があります。

③ バリエーションに優れ、和風建築、洋風建築両方の建築物に使用可能

形状と好きな色に塗装できる自由度から和風建築物、洋風建築物ともに使用することが可能でした。

こうして、『厚型スレート』が屋根材として広く世の中に出回るようになります。『厚型スレート』は昭和初期から二十世紀末頃まで新築住宅、屋根葺き替え時の屋根材として使用されました。

ところが1998年頃から急速にシェアを失います。

それは、以下のデメリットが大きな理由となります。

2-2. 厚型スレートのデメリット

<デメリット>
①陶器瓦との価格差異が無くなった
②陶器瓦より耐久性が劣る
③現在は製造が終了しており屋根材の入手が困難

陶器瓦との価格差異が無くなった

もともと最大のメリットは価格の安さにありました。しかし、これまで高価で一般家庭には手の届きにくかった陶器瓦が大量生産ができるようになり、価格差が無くなったことでのメリットを失いました。

②陶器瓦より耐久性が劣る

スレート材の中では耐久性は高かったのですが、陶器瓦に比べると耐久性が落ちます。厚型スレート』の耐久年数が約30年に対して、陶器瓦約50年以上となります。

③現在は製造が終了しており屋根材の入手が困難

上記のような理由から『厚型スレート』の魅力が次第に失われ急速にシェアを落とすことになります。この影響で『厚型スレート』を製造する事業者も減り、現在では製造している業者はいなくなりました。

そのため、屋根修理の際に屋根材を調達することができず、『厚型スレート屋根』の補修が難しくなっています。

3. まとめ

いかがでしたでしょうか。ご自宅に同じ『厚型スレート瓦』が乗っていませんでしたか?
以前は再塗装でメンテナンスができましたが、既に製造がストップし、長い年月が経過している為、再塗装の選択も難しくなっています。再塗装で綺麗に戻るかな?』と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、耐久年数を越えると見た目は新しくなりますが、その他の重要な耐久性・防水性などの効果が戻らず、ひび割れなどから雨漏りが発生する恐れがあります。

ご自宅の屋根が『厚型スレート』でしたら塗装ではなく、じっくり計画を立てて陶器瓦他の屋根材への屋根葺き替え(屋根リフォーム)を検討されることをお勧めします。長きに渡りお住まいを守り続けてきた『厚型スレート』に感謝しつつ、これを機に屋根葺き替え(屋根リフォーム)を選択肢の一つとして加えてみてはいかがでしょうか。ご自宅の屋根リフォームの参考になれば幸いです。

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