セメント瓦の塗装時期と費用、メリット・デメリットまで徹底解説
お客様
家のセメント瓦屋根の色が剥げてきたから塗装をしたい!塗装について詳しく教えて欲しい。
今回は、こんな疑問にお答えします。
本記事の内容
・セメント瓦の塗装する目的とは
・セメント瓦の塗装のメリット・デメリット
・セメント瓦の塗装費用
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セメント瓦の塗装は、屋根の見た目を美しく保ち、耐久性を維持するために重要な作業です。塗装が経年劣化により剥げてきた場合、適切なタイミングで塗装を行うことで、屋根全体の寿命を延ばすことが可能です。
しかし、塗装の時期や費用、そしてメリット・デメリットをよく理解せずに工事を進めてしまうと、思わぬトラブルや追加費用が発生することもあります。
本記事では、セメント瓦の塗装を検討されている方に向けて、塗装を行う目的やそのメリット・デメリットを徹底解説します。
目次
セメント瓦とは?塗装する目的
セメント瓦とは、セメントを主原料に川砂を混ぜて作られた瓦です。
昭和30年〜平成10年頃まで、現在の陶器瓦が高価だったため、比較的リーズナブルなセメント瓦が広く採用されました。しかし、セメント瓦は表面の塗料が約10年で剥がれてしまう弱点があり、塗装が必要です。
定期的に塗装をすることで、瓦と機能と見た目を維持しながら約30年程度使用できます。
セメント瓦の塗装3つのメリット
セメント瓦を塗装することで、見た目が良くなり、耐久性や防水性が向上します。
3つのメリットについて、以下で詳しく紹介します。
セメント瓦塗装の3つのメリット
- 見た目が良くなる
- 防水性が上がる
- 耐久性が上がる
見た目が良くなる
セメント瓦の塗装は、まず第一に屋根の見た目を大幅に改善します。年月が経つにつれ、塗装が剥げたり色あせたりすると、家全体が古びた印象を与えがちです。
しかし、塗装を行うことで、瓦の表面が新品同様に美しく蘇ります。セメント瓦は、塗装によって選べる色や仕上がりのバリエーションが豊富で、住宅の外観に合わせて好きな色が選べます。
また、近隣の景観や家の資産価値を考慮する場合でも、塗装は外観を保つ重要な要素です。
耐久性が上がる
塗装は単に見た目を改善するだけでなく、瓦の耐久性を大きく向上させます。塗料が瓦にしっかりと密着することで、紫外線や風雨から瓦を保護し、経年劣化を遅らせる役割を果たします。
また、塗料には防汚性や防カビ性があるため、汚れやカビの発生を抑える効果も期待できます。
これにより、瓦そのものの寿命が延び、将来的な大規模な修繕や交換の頻度を減らすことができます。
防水性が上がる
セメント瓦は、塗料が剥がれると防水性が大幅に下がるので、塗装による防水対策が不可欠です。塗料の塗布によって、瓦の表面が雨水を弾き、雨漏りのリスクを軽減することができます。
防水性の向上は、屋根全体の健康状態を維持する上で非常に重要です。塗装を定期的に行うことで、瓦自体の劣化を抑え、家全体の耐久性も向上させることができます。
セメント瓦の塗装のデメリット
セメント瓦の塗装には多くのメリットがある一方で、定期的なメンテナンスや施工ミスによるリスクも存在します。以下に、再塗装の必要性や塗装に失敗した場合のリスクについて詳しく説明します。
セメント瓦塗装の2つのデメリット
- 10年毎に再塗装が必要
- 塗装に失敗すると雨漏りの可能性がある
10年毎に再塗装が必要
セメント瓦の塗装は、定期的なメンテナンスが求められます。通常、塗装の耐久性は約10年とされており、それ以降は再塗装が必要になります。
10年ごとに塗装を行うことで、瓦の寿命を延ばすことができますが、その分コストと手間がかかります。また、塗装のタイミングを逃すと、屋根全体の劣化が進み、結果的に葺き替えなどの大規模な工事が必要になることもあります。
塗装に失敗すると雨漏りの可能性がある
セメント瓦の塗装に失敗した場合、雨漏りのリスクが高まることがあります。施工中に瓦の重なり部分に塗料が入り込んでしまったり、瓦の隙間を塞いでしまうと、雨水の排水が正常に行われなくなり、雨漏りが発生する可能性があります。
また、塗装前に瓦の状態を十分に確認せず、ひび割れや損傷を放置したまま塗装を行うと、塗装後にこれらの隙間から雨水が侵入し、雨漏りの原因となります。
さらに、塗料の選択を誤ったり、塗膜が十分に厚くない場合も防水効果が不十分となり、屋根全体の防水性が低下します。こうしたリスクを避けるためには、経験豊富な専門業者に依頼し、施工前に屋根の状態を入念にチェックすることが重要です。
セメント瓦を塗装する際の注意点
セメント瓦の塗装を検討する際には、瓦の状態や業者選びに注意が必要です。
瓦の劣化や業者の信頼性を無視して塗装を行うと、十分な効果が得られない場合があります。以下で具体的な注意点を詳しく解説します。
- 30年以上経過すると再塗装の効果が低くなる
- ヒビ・割れが多い場合は塗装しない
- 価格を重視しすぎて、知らない業者に依頼しない
30年以上経過すると再塗装の効果が低くなる
セメント瓦が30年以上経過している場合、再塗装の効果が十分に得られないことがあります。
長期間にわたって使用されたセメント瓦は、表面の劣化が激しく、塗装を施しても塗料が十分に密着しないケースがあります。紫外線や風雨にさらされ続けた瓦は、内部まで劣化が進行しており、表面の塗装では根本的な解決ができないことが多いです。
このような場合、再塗装よりも葺き替え工事が必要になることがあるため、瓦の状態を専門家にしっかりと点検してもらうことが重要です。塗装を検討する前に、瓦が再塗装に適しているかどうかを確認することが大切です。
ヒビ・割れが多い場合は塗装しない
セメント瓦にヒビや割れが多く見られる場合、塗装をしても効果が薄いばかりか、問題を悪化させる可能性があります。
瓦がひび割れていると、そこから雨水が浸入し、内部にダメージを与えるリスクが高まります。塗装によって表面をカバーしても、根本的なひび割れや割れ目を修復しない限り、雨漏りやさらなる劣化を引き起こす可能性があります。
塗装前に瓦の状態をしっかりと点検し、ヒビや割れが確認された場合は、塗装ではなく、まず修繕や瓦の交換を行うべきです。適切な修理が行われないまま塗装を行うと、問題を隠すだけで、最終的には大規模な工事が必要になることもあります。
価格を重視しすぎて、知らない業者に依頼しない
屋根塗装の費用は重要な要素ですが、価格を重視しすぎて信頼性の低い業者に依頼することは、後々大きな問題を引き起こす可能性があります。
極端に安い見積もりを提示する業者は、施工の質を落とすか、必要な工程を省略することが多く、その結果、再塗装後に雨漏りや塗装の剥がれが発生することがあります。
また、信頼できない業者に依頼すると、アフターサービスが不十分で、トラブルが発生しても対応してもらえない場合もあります。そのため、業者を選ぶ際は、価格だけでなく、過去の実績や口コミ、保証内容を確認することが非常に重要です。適正な価格で信頼できる業者に依頼することで、長期間にわたる安心感を得られます。
セメント瓦の塗装時期
セメント瓦の塗装時期は、瓦の耐久性や見た目を維持するために重要なポイントです。
一般的に、セメント瓦は10〜15年ごとに塗装を行うのが目安とされています。これは、塗料の耐久性が約10年程度で劣化し始めるため、塗装が剥がれたり色褪せたりすることで瓦の防水性が低下し、結果的に雨水の侵入や瓦の劣化が進むリスクが高まるからです。
適切な塗装時期を見極めるためには、定期的な点検が欠かせません。塗装が剥がれたり、色褪せが目立ってきたりした場合は、塗り直しを検討するタイミングです。
また、屋根の環境によっても塗装の寿命は変わります。例えば、日光が強く当たる場所や雨風の影響を強く受ける地域では、塗料の劣化が早まることがあります。このような状況では、10年を待たずに塗装が必要になることもあります。
セメント瓦の塗装費用の目安
セメント瓦の塗装費用の目安となります。使用する塗料によって料金が変わります。
料金表はあくまでも目安となります。詳しくは、信頼のおける塗装専門業者にお問合せされることをお勧めします。
項目ごとの単価
項目 | 標準版 シリコン塗料 (税込) | グレードアップ版 フッ素塗料 (税込) |
---|---|---|
足場設置 | 825円/㎡ | 825円/㎡ |
高圧洗浄 | 220円/㎡ | 220円/㎡ |
養生 | 330円/㎡ | 330円/㎡ |
縁切り(タスペーサー) | 330円/㎡ | 330円/㎡ |
下地調整 | 440円/㎡ | 440円/㎡ |
下塗り | 770円/㎡ | 770円/㎡ |
中塗り | 1,100円/㎡ | 1,870円/㎡ |
上塗り | 1,100円/㎡ | 1,870円/㎡ |
破風 | 500円/㎡ | 500円/㎡ |
軒天 | 500円/㎡ | 500円/㎡ |
各種諸経費 | 工事費用の5% | 工事費用の5% |
お見積もり例イメージ 「100㎡(30坪)の家」3LDK~4LDKのお部屋
シリコン塗料(標準)使用
項目 | 単価(税込) | 数量 | 金額(税込) |
---|---|---|---|
足場設置 | 825円 | 100㎡ | 82,500円 |
高圧洗浄 | 220円 | 100㎡ | 22,000円 |
養生 | 330円 | 100㎡ | 33,000円 |
縁切り(タスペーサー) | 330円 | 100㎡ | 33,000円 |
下地調整 | 440円 | 100㎡ | 44,000円 |
下塗り | 770円 | 100㎡ | 77,000円 |
中塗り | 1,100円 | 100㎡ | 110,000円 |
上塗り | 1,100円 | 100㎡ | 110,000円 |
諸経費(5%) | 25,575円 |
合計(税込) | 537,075円 |
フッ素塗料(グレードアップ版)使用
項目 | 単価(税込) | 数量 | 金額(税込) |
---|---|---|---|
足場設置 | 825円 | 100㎡ | 82,500円 |
高圧洗浄 | 220円 | 100㎡ | 22,000円 |
養生 | 330円 | 100㎡ | 33,000円 |
縁切り(タスペーサー) | 330円 | 100㎡ | 33,000円 |
下地調整 | 440円 | 100㎡ | 44,000円 |
下塗り | 770円 | 100㎡ | 77,000円 |
中塗り | 1,870円 | 100㎡ | 187,000円 |
上塗り | 1,870円 | 100㎡ | 187,000円 |
諸経費(5%) | 33,275円 |
合計(税込) | 645,750円 |
セメント瓦の塗装方法
セメント瓦の塗装は、足場設置から始まり、洗浄、補修、塗装、そして最終確認まで多くの工程を経て行われます。適切な手順を守ることで、耐久性の高い美しい仕上がりが期待できます。
以下で各工程を詳しく解説します。
セメント瓦の塗装手順
- 足場設置
- 下地補修
- 高圧洗浄
- 養生
- 下塗り
- タスペーサー(縁切り)
- 中塗り
- 上塗り
- 確認・手直し
足場設置
セメント瓦の塗装作業を行う際、最初に行われるのが足場の設置です。足場は、作業員が安全に屋根に作業できるようにするだけでなく、周囲の建物や外壁、窓などを保護するためのシートを取り付けるためにも使用されます。
足場の設置には通常、1日から2日程度かかります。適切に設置された足場は、作業の効率を高め、屋根全体を均等に塗装できる環境を整えるために重要です。
また、足場設置には安全基準を遵守することが求められ、作業中の事故やトラブルを未然に防ぐことができます。
下地補修
まず、屋根の下地補修を行います。瓦がひび割れていたり、損傷している部分がある場合、この段階で修理や補強を行わないと、塗装後に雨漏りやさらなる劣化を引き起こす可能性があります。
セメント瓦は、経年劣化により細かなひび割れが生じやすいため、補修材や部分的に新しい瓦に交換して丁寧に修復します。
高圧洗浄
足場の設置が完了したら、次に行われるのが高圧洗浄です。高圧洗浄は、屋根表面に付着している汚れや苔、古い塗膜を徹底的に除去するための工程です。
この作業が不十分だと、塗料がしっかりと瓦に密着せず、塗装の効果が薄れてしまいます。高圧洗浄は強力な水流を用いるため、表面に蓄積された頑固な汚れやカビなども効果的に取り除くことができますが、古くなった瓦が脆くなっている場合は、慎重に作業を行う必要があります。洗浄後には、十分に乾燥させる時間を確保することも重要です。
養生
塗装に入る前に、周囲の部分を養生します。養生とは、塗料が瓦以外の場所に飛び散るのを防ぐために、ビニールシートやテープを使って家の外壁や窓、ドアなどを保護する作業です。
養生が不十分だと、塗料が不要な場所についてしまい、後からの清掃が大変になります。また、作業員が安全かつスムーズに塗装作業を行えるように、しっかりと養生を行うことが求められます。風の強い日などは、養生シートがめくれやすくなるため、慎重な対応が必要です。
下塗り
養生が完了したら、まず下塗りを行います。下塗りは、塗料を瓦にしっかりと定着させるための基礎となる作業であり、これによって上塗り塗料の密着性が高まり、耐久性も向上します。
下塗りには、瓦に適したシーラーやプライマーが使われ、塗装の基盤を整える役割を果たします。下塗りが不十分だと、上塗りが剥がれやすくなり、早期に塗膜が劣化する可能性があります。
塗装の仕上がりや耐久性を左右する非常に重要な部分であり、ムラなく均一に塗布することが求められます。
タスペーサー(縁切り)
下塗りが完了した後、セメント瓦の隙間に「タスペーサー」という小さな部品を差し込む作業が行われます。これを「縁切り」と呼び、雨水が瓦の間から排出されるためのスペースを確保するために行います。
タスペーサーを使用しないと、瓦の隙間に塗料が詰まってしまい、雨水がスムーズに流れず、雨漏りの原因となることがあります。セメント瓦は雨水の流れが重要であり、縁切りをしっかり行うことで、屋根全体の防水性を確保することができます。
この工程は見た目には目立ちませんが、非常に重要な作業です。実際、屋根塗装に知識がない業者が塗装のみを行い、複数箇所から雨漏りしている屋根を多く見ましたので注意が必要です。
中塗り・上塗り
タスペーサーの設置が終わったら、中塗りと上塗りの作業に移ります。中塗りは、下塗りの上に塗料を重ねることで、塗膜を厚くし、耐久性を高めるために行います。
中塗りが終わったら、一定の時間を置いて塗料をしっかり乾燥させ、次に上塗りを行います。上塗りは、塗装の仕上がりを美しく整えるとともに、屋根全体を紫外線や雨風から長期間守る役割を持ちます。中塗りと上塗りを均一に塗布することで、塗膜の耐久性がさらに向上し、屋根の美観も長く保たれます。
確認・手直し
塗装作業が全て完了した後は、細かな仕上がりの確認と手直しが行われます。塗りムラや塗り残しがないかをしっかりと確認し、必要であれば手直しを行います。
瓦の隙間や屋根の角など、目につきにくい部分もチェックされます。さらに、塗装が乾燥した後に発生する不具合がないかも確認し、屋根全体が美しく、機能的に仕上がります。
最終確認は、施工の品質を確保するために重要な工程であり、丁寧に行うことで長期間にわたる塗装の効果が保証されます。
足場の解体・撤去
最後に、足場の解体・撤去を行います。足場の解体は安全を確保しつつ、周囲に迷惑がかからないよう慎重に行われます。外壁や周辺設備への傷を防ぐため、足場の取り外しには十分な注意が払われます。
また、解体作業後には、周囲の清掃や片付けも行い、工事前と同じ状態に戻すことが求められます。足場の撤去が完了すれば、全ての塗装工程が終了となります。
セメント瓦の劣化が酷い場合は、葺き替え(交換)がおすすめ
セメント瓦が長年にわたって使用され、劣化が進行している場合、塗装だけでは十分な修復効果が得られないことがあります。瓦に大きなひび割れや破損が多く見られる場合、または防水機能がほとんど失われている場合は、塗装よりも葺き替え(交換)を検討する方が適切です。
葺き替えは、古い瓦を取り除き、新しい屋根材を設置する工事で、屋根の耐久性を新築同様に回復させる方法です。葺き替えのメリットとしては、瓦そのものの寿命を延ばすだけでなく、屋根全体の断熱性や防音性も向上させることが挙げられます。
築30年以上の建物の場合、屋根の下地やルーフィング(防水シートの)の劣化も進行していることが多く、葺き替えを行うことで家全体の耐震性や安全性を高める効果も期待できます。
また、近年では軽量で高耐久な屋根材が数多く登場しており、これらの素材を使用することで、住宅の寿命をさらに延ばすことが可能です。劣化の程度によっては塗装よりも葺き替えが経済的で、将来的なメンテナンス費用を抑える選択肢となります。
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まとめ:セメント瓦の塗装はメンテナンス次第で長持ちする
セメント瓦は既に生産が中止してから約20年以上が経過しており、寿命に近い屋根も多いのが現状です。
セメント瓦を塗装する際は、今のセメント瓦の経過年数と劣化状況を把握しておくことが重要です。
適切なタイミングで塗装をして、できるだけ屋根を綺麗な状態で長持ちさせましょう。
約30年以上経過している場合は、塗装がいらない陶器瓦への葺き替えをオススメします。
今後の屋根リフォームの参考になれば幸いです。