屋根リフォーム前に知っておこう!陶器瓦とセメント瓦の違いとは
お客様
瓦って全部同じように見えるけど、陶器瓦とセメント瓦って何が違うの?
今回は、こんな疑問にお答えします。
本記事の内容
・陶器瓦とセメント瓦の歴史
・陶器瓦とセメント瓦のメリット・デメリット
・陶器瓦をオススメする理由
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陶器瓦とセメント瓦は、見た目は似ていますが、それぞれ材料がまったく違うもので作られている瓦です。
陶器瓦とは、粘土を主な材料とし、茶碗と同じように釉薬(ゆうやく)で焼かれた瓦です。
この記事を読めば、陶器瓦とセメント瓦の違いについて知ることができます。
陶器瓦とセメント瓦について詳しく知りたい方は、是非参考にしてみてください。
目次
陶器瓦とは?陶器瓦の歴史
陶器瓦は、古代中国の周時代(紀元前900年頃)から使われ、日本へ伝わったのが飛鳥時代(588年)です。
日本書紀には「百済から瓦づくりの技術者が渡ってきた」という記録が残っています。彼らによって作られた瓦は、飛鳥寺の屋根に使われたことで、全国に広がりました。
当初は、藤原京や平城京、長岡京の宮殿などごく一部に使用されていましたが、戦国時代に入り、戦国武将の城や社寺仏閣などで見られるようになりました。江戸時代に入ると軽量化された瓦が作られ、武家屋敷など家屋にも使われます。
明治時代になり、ようやく一般家庭に普及し、昭和に入ると、大量生産体制が作られ、急速に普及していきました。
陶器瓦の製造方法
陶器瓦の材料は主に粘土です。釉薬(ゆうやく)と呼ばれるうわぐすりをつけてから焼く瓦が陶器瓦となります。釉薬はガラス質になっていて、防水性と耐久性に優れているのが特徴です。
製造方法は、岩石が風化してできた粘性の強い土を採取し、これらを混ぜ合わせてすりつぶします。程よく細かくしたあとに水を入れ、粘土の硬さを調整します。粘土を練る工程で、粘土内の空気が抜けていき、粘りが増します。
その次に、瓦を形にする圧縮・成型の工程に入ります。現在はプレス機を使って行うことがほとんどです。成型1日から1日かけて乾燥させます。
色みや艶出しをするため、釉薬を塗ったあと、約1,000〜1,250度の高温に調整した窯で1日以上かけて焼きます。長時間焼くのは、焼き締めることで温度の変化にも強い丈夫な瓦を作るためです。
こうしてようやく、陶器瓦が焼き上がります。
陶器瓦のメリット
陶器瓦には以下の2つのメリットがあります。
メリット①:耐久年数が50年以上
メリット②:塗装がいらない
メリット①:耐久年数が50年以上
陶器瓦の耐久性は50年。屋根材のなかでもっとも長持ちする屋根材です。
他の屋根材は大体20〜30年程度なので、約2倍の耐久年数があります。
メリット②:再塗装がいらない
セメント瓦やその他屋根材のほとんどが、約10年を目安に再塗装が必要です。
塗装の手間と塗装費用がいらないのは安心ですよね。
陶器瓦のデメリット
陶器瓦にはメリットだけではなく、以下のデメリットもあります。
・デメリット①:費用が高い
・デメリット②:重量がある
・デメリット③:品質が均一ではない
デメリット①:費用が高い
陶器瓦は、コロニアルやアスファルトシングルなどの屋根材と比べると割高です。
ただし、将来的なメンテナンスの手間や耐久性を含めて考えると、然程高くないことが分かります。
デメリット②:重量がある
瓦は他の屋根材と比べると重量があります。
近年は地震も多発しているので、重さを重視される方も多いです。重さだけを考えると他の屋根材が優れています。
デメリット③:品質が均一ではない
粘土瓦を製造する際に、粘土に含まれる鉱物成分を均一にすることが難しく、瓦一枚一枚に僅かな誤差があり、捻(ねじ)れがあります。(許容範囲は±3mm)
セメント瓦とは?セメントと砂を混ぜて作られた瓦
セメント瓦とはセメントに砂を混ぜて作られた瓦です。
セメント瓦の歴史
セメント瓦の誕生は昭和14年頃です。
これまではアスベストを使って強度と厚みを増した石綿スレート屋根が主流でしたが、戦争の影響で石綿の配給がストップしました。
その代替品として、セメント瓦(厚型スレート)が誕生します。
当時は陶器瓦より安価だったため、一般住宅の屋根に普及しました。
しかし、陶器瓦の大量生産によって価格が安くなり、立場が逆転します。
今では陶器瓦が瓦の主流となり、セメント瓦を製造していた工場も次々と閉鎖。
現在ではごく僅かの工場が生産しており、セメント瓦の入手が難しくなっています。
セメント瓦の製造方法
セメント瓦の主な素材は、セメント(石灰石)と砂。
水を混ぜてモルタルを作り、洋風、和風、フラット型などの形にプレス成型して乾燥させてます。
乾燥したら、高温で焼いて完成です。
セメント瓦のメリット
セメント瓦には以下の3つのメリットがあります。
・メリット①:品質が均一
・メリット②:耐火性が高い
・メリット③:施工が簡単
メリット①:品質が均一
セメント瓦は乾燥や焼成する際に瓦が縮むことがないので、瓦一枚一枚の精度が高いです。
メリット②:耐火性が高い
セメントと砂でできているため、燃えにくいです。
火事が起きた際は燃え広がるスピードを抑える役目を果たしてくれます。
メリット③:施工が簡単
瓦一枚一枚の精度が高いので、職人の調整手間が省けます。
セメント瓦のデメリット
セメント瓦にはメリットだけではなく、デメリットもあります。
・デメリット①:耐久性が低い
・デメリット②:定期的に塗装が必要
・デメリット③:セメントは水を吸収しやすい
デメリット①:耐久性が低い
陶器瓦の耐久性が約50年以上なのに対して、セメント瓦は約30年と短いです。
さらに、セメント瓦は10年ごとに塗装が必要となります。
デメリット②:定期的に塗装が必要
セメント瓦は10年経過すると表面の塗料が剥がれてきます。
この塗料が剥がれると、防水性が極端に下がってしまいます。
デメリット③:セメントは水を吸収しやすい
塗料が剥がれ、セメントが剥き出しになると雨水を吸収しやすくなります。
古いセメント瓦が割れていないのに、雨漏りする原因の一つです。
陶器瓦とセメント瓦の違いを比較
陶器瓦とセメント瓦の違いを5つの項目で比較してみました。
スクロールできます
陶器瓦 | セメント瓦 | |
---|---|---|
耐久性 | 約50年以上 | 約30年 |
塗装 | なし | 10年に1回 |
施工のしやすさ | 普通 | 簡単 |
生産数 | 多い | とても少ない |
価格 | 普通 | 高い |
耐久性
セメント瓦は約30年の耐久性に対し、陶器瓦は50年以上と耐久性に圧倒的な差があります。
塗装
セメント瓦は10年ごとの塗装が必要です。陶器瓦は塗装が一切必要ありません。
施工のしやすさ
瓦の寸法の精度が高いセメント瓦の方が施工がしやすいです。
生産数
現在、セメント瓦の生産数は僅かです。生産している工場も限られています。
ですので、修理用の瓦を探すのも難しい場合があります。陶器瓦は需要に合わせて、大量に生産されています。
瓦の価格
現在、生産数が少ないことからセメント瓦の方が瓦の価格が高いです。
まとめ:屋根をリフォームするなら陶器瓦がおすすめ。
今回は陶器瓦とセメント瓦の違いについて解説してきました。
陶器瓦とセメント瓦は、見た目は同じようですが、使っている素材、耐久性も違います。
「セメント瓦屋根の色が剥げてきた(約10年が目安)」と思ったら、早めに塗装されることをおすすめします。
ただし、塗装方法を間違うと色々な箇所から雨漏りするリスクがありますので、きちんとした専門業者にお願いしましょう。
約30年以上経過し、劣化が目立つ場合は塗装の効果を得るのが難しいため、陶器瓦への葺き替えをする方が良いでしょう。
今後の屋根リフォームの参考になれば幸いです。
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