【瓦の歴史】世界で最も古い瓦は中国から伝わった?

瓦は中国から伝わった?
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瓦っていつから使うようになったの?日本の瓦と世界の瓦の違いは?瓦の歴史について知りたい!

このような疑問にお答えします。

今回の記事では、「瓦の歴史」についての解説をしていきます。 この記事を読むことで、日本の瓦の歴史や種類、そして世界の瓦との関係性についてを理解することができます。さっそく解説をしていきましょう。

本記事の内容
・日本の瓦の歴史について
・瓦の種類について
・瓦産業を発展させた三州瓦について

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目次

1.世界での瓦の歴史について

中国の寺

現在では、土地や風土に合わせた瓦が世界中に広まっていますが、そもそも、瓦がいつ、誰により発明されたのか明確になっていません。メソポタミア説、インド説、中国説、ギリシャ説などが発祥先の候補として挙げられていますが、世界で最も古い瓦が発見されたのは、約3,000年前の中国の陳西省西安の近郊と言われています。 春秋戦国時代の中国で、瓦(グワ)と呼ばれる「粘土を焼いたもの」を意味する、現代の瓦が作られました。

その後、漢の時代になり、ペルシャ湾からシルクロードを経由して、釉薬と呼ばれる瓦や、土器の強度を高めるガラス質の技術が広まっていきました。 日本が古墳時代に入ったところで、百済からの渡来人により、仏教と共に瓦文化が日本にやってくることになります。 次に、日本の瓦文化を歴史と共に見ていきましょう。 ちなみにヨーロッパでは、約2,000年前の古代ローマ時代に作られた瓦が発見されており、古代ギリシャ時代のパルテノン神殿からは、大理石の瓦も発見されています。 つまり、紀元前のヨーロッパでは、すでに瓦は一般化されていたということになります。

2.日本での瓦の歴史について

京都清水寺

約3,000年前に中国で発明され、日本に伝わったのは、日本書紀によると、西暦588年頃と言われています。朝鮮半島南西部の「百済」から仏教と共に瓦が伝わったとされています。

2-1.【古墳時代】大陸文化と渡来人

5世紀頃の日本では、大和政権は朝鮮や中国から日本列島に移住してくる渡来人を多く迎えいれており、彼らにより、鉄製の武器、農具・工具、須恵器と呼ばれる硬質の土器、機織、金属細工など、各種の新しい技術が伝えられました。 6世紀になると、儒教など高度な内容を持つ文化が伝えられ、それに合わせて、仏教や「瓦」といった文化も伝えられました。

2-2.【飛鳥時代ー初期】瓦を使った初めての寺院

法隆寺

仏教が伝わり、特に信仰心が強かった厩戸王や蘇我氏が、この時代の政治をつかさどるようになり、都のあった飛鳥地方を中心に寺院が建てられました。 その中でも蘇我氏の発願によって飛鳥寺、厩戸王の発願によって法隆寺、四天王寺、吉備池廃寺は、飛鳥文化を代表する寺院です。

これらが、日本で初めて瓦を使って建てた寺院と言われ、特に法隆寺は、世界最古の木造建築として、毎年多くの観光客が訪れています。

2-3.【飛鳥時代ー中期】寺院以外で瓦を使った建造物

大化の改新があり、律令国家建設への道を歩み始め、持統天皇のもと、689年に飛鳥浄御原宮令を施行し、それにもとづく庚寅戸籍をつくりました。 丁度この頃に、藤原京が造られました。藤原京は、瓦を寺院以外で使った建造物と言われています。

2-4.【奈良〜平安〜室町〜桃山時代】

飛鳥時代、奈良時代を経て、徐々に瓦が普及し始めていましたが、平安時代〜室町時代になると、瓦職人の減少、台風などの風害もあり、瓦の使用は少なくなりました。 瓦が減少する中でも、飛鳥時代の法隆寺などのお寺は、宮大工と言われる専属の瓦大工がいたこともあり、世界最古の木造建築として守られていました。 ですが、桃山時代(戦国時代)になると、各国の武将によりお城の建設が進み、瓦の使用量が爆発的に増えていき、城下町などの武士の屋敷にも瓦が多く使われるようになりました。

2-5.【江戸時代】瓦が民衆へ普及する

瓦が民衆の家屋へ普及し始めたのは、江戸時代末期頃と言われています。これまでの民衆家屋は、板葺き屋根が多く、「火事と喧嘩は江戸の華」と言われるほど、火事が日常的に起こっていました。 この頃の幕府では、士農工商などの身分制度の確立を行い、人々の服装を制限する法令なども出されていました。その一つとして、「奢侈禁止令」と言われる、いわゆる贅沢禁止の法令です。

奢侈禁止令により、瓦や土蔵といった高級品の使用を禁止していましたが、防火対策も含めて、瓦の使用を奨励するようになりました。 この時期から一気に瓦が一般の家屋に普及し始めたということになります。

2-6.【明治時代〜大正時代以降】様々な瓦屋根が普及する

古い街並み

明治時代に入ると、フランス人のアルフレッド・ジェラールが、洋風建築用のフランス瓦の製造商売を横浜で始めました。 1,300度まで上昇可能な登り窯を使い製造することで、頑丈で、軽量化された瓦を製造することができ、画期的な瓦として普及しました。 その後、大正時代に入り、スペインからスパニッシュ瓦が輸入され、これを元に「S型瓦」が誕生しました。

関東大震災などの大地震もあり、瓦の危険性がうたわれてきましたが、その度に風にも雨にも強い瓦や、軽量化された瓦など、瓦屋根の伝統を守りながら、災害に強い瓦作りが現在にわたり進んでいます。

3.瓦産業を発展させた【三州瓦とは】

三州瓦とは、江戸時代から日本の瓦産業を発展させた三大産地の一つとして知られています。

<三大産地>
①:三州瓦(愛知県三河地方)
②:石州瓦(島根県石見地方)
③:淡路瓦瓦(兵庫県淡路島)

これらの地域では、良質な土がたくさん取れることから、瓦の製造産業が発展しました。この3つの地域だけで、全国の瓦製造のシェアを8割以上占めています。 その中でも、三州瓦は、瓦の運搬に適した海運にも恵まれており、江戸などに多く出荷されていました。

4.瓦の種類をご紹介

瓦といえば、粘土を使った粘土瓦が基本ですが、その中でも製造方法により2つに分類されます。

4-1. 釉薬を塗った釉薬瓦

一般住宅

粘土側に釉薬を塗って焼き上げた瓦です。釉薬はガラス質であることが特徴のため、防水性に優れています。

4-2. 釉薬を塗らない無釉瓦

釉薬を塗らずに焼き上げる瓦(無釉瓦)もあります。その中でも、いぶし瓦、赤瓦といった瓦も有名です。

5. 種類によって違う?瓦の呼び名3選

瓦は種類や形により呼び方が異なります。代表的な3つを見ていきましょう。

4-1. J型瓦

城北瓦 屋根材紹介 新東 JAPANESE STYLE TYPE

日本で最もポピュラーな瓦です。緩やかな波形の瓦は、水の排水もしやすく、雨が多い日本の気候に最適です。

S型瓦

栄四郎瓦カパラスKS

次に、S型瓦は、大正時代にスペインから輸入され始め、西洋文化と共に日本に伝わりました。三州は、この様式の瓦を取り入れ、日本の風土や気候に合ったS型瓦を製造しました。

F型瓦

城北瓦 瓦紹介 栄四郎プラウドUU

最後に、J型やS型とは異なり、フラットなデザインをしていることからF型瓦と言われています。

5.まとめ:瓦は長い歴史がある伝統的な屋根材です

瓦の歴史を日本の歴史と一緒に解説をしてきました。 約3,000年前に瓦の歴史が始まり、古墳時代に百済から日本に仏教と共に瓦が伝わりましたが、このように瓦の歴史を知ることで、その当時の日本の出来事も知ることができます。 これからも、時代の流れ、気候変動などに合わせながら、瓦屋根の伝統が受け継がれていくでしょう。

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