セメント瓦の歴史を紹介

セメント瓦は昭和14年の第二次世界大戦中に、瓦の強度を保つ材料となる石綿(アスベスト)の配給が止まったのを背景に、石綿(アスベスト)を使わずに同じ強度を保つ製品として『セメント瓦 厚形スレート』が誕生しました。
\ ドローン屋根点検・見積もり無料 /
1.セメント瓦の歴史

主に四国、九州地区で多く使用され昭和30年~平成10年頃まではほとんどの家が『セメント瓦 厚形スレート』が使用されていました。その頃、今よく使われている陶器瓦(粘土)は?というと、当時はまだ高級瓦だった為、なかなかに手が届きにくい瓦でした。ですが、平成10年を過ぎた頃から『陶器瓦(粘土)』が価格が下がり、『メンテナンスフリー』という売り文句で一気に普及しました。
かたやセメント瓦はその勢いに押され、シェアを落としました。生産数が減った分、セメント瓦の価格が上がり、今は陶器瓦(粘土瓦)の方が価格が安くなっています。セメント瓦の安価なメリットもなくなってしまいました。約20年で『セメント瓦 厚形スレート』と『陶器瓦(粘土)』のシェアが逆転し、今やセメント瓦工場は国内でごく僅かです。
2.セメント瓦の特徴
セメント瓦はセメントと砂など主な材料とし加圧成形し、乾燥させた後に、高耐久性塗料で塗ったものです。安価ながらも選べる色も豊富にあり、デザイン性に優れていていました。また、耐火性も高く、燃えづらい屋根材として、安全性でも信頼を得ていました。
ただ弱点もありました。それは『陶器瓦(粘土瓦)』と対照的なもので、メンテナンス性に劣るということです。セメント瓦は塗料で塗られている為、10年程度で色が剥がれます。塗装に依存しており、耐水性が下がると一気に脆くなり、カビが生えて割れてしまいます。
項目/瓦の種類 | セメント瓦 | 陶器瓦(粘土瓦) |
耐久年数 | 約30年 | 約50年 |
メンテナンス | 10年毎に塗装 | 無し |
※メンテナンスは瓦製品自体のことで、漆喰の剥がれや銅板の破れなど瓦製品以外は屋根の状況により、メンテナンスが必要となります。
3.セメント瓦のメンテナンス方法

セメント瓦のメンテナンス方法は定期的な塗装です。10年に一回塗装をすることで、耐水性を維持して約30年程度使用できます。ただ、既に30年程度経過した屋根が多くなり、今後、瓦の割れ、雨漏りが多く発生する可能性があります。また、セメント瓦が割れた場合、ほとんどのセメント瓦が廃盤品の為、同じ瓦に交換するのが難しくなっています。約30年以上経過しているようでしたら、どこかのタイミングで陶器瓦(粘土瓦)への取り換え(葺き替え)を検討されることをお勧めします。
4.まとめ

ひと昔前までは『セメント瓦 厚形スレート』が瓦の主役でした。時代と共に陶器瓦(粘土瓦)に変わってしまいましたが、日本の生活を支えてくれた立派な瓦です。この瓦と高い建築技術のおかげで、約50年以上経過した家が今だ立派に存在しています。この歴史ある家々を、次は陶器瓦(粘土)や新しい屋根材にバトンタッチをして、新しい世代へ繋げてもらえれば嬉しく思います。
私達、屋根工事業者は、多くの新屋根材が生まれるなか、『どの屋根材』、『どの技術』が使用され、メンテナンスに優れているかを見極め、長く普及するものを皆さまへご案内しなければならないと思っております。