どんな屋根材がオススメ? 種類別の相場、長所、短所など

住宅を新築したり、古い家をリフォームする時、あなたならどの部分を重要視しますか?
デザイン? 間取り? 使い勝手?
勿論、それらの要素も大事ですが、最近、にわかに注目されているのが「屋根材」です。ご存知のように地球温暖化の影響で、ここ数年、日本にも大きな台風が到来するようになりました。台風による雨や風の被害を、最も受けるのが屋根です。

「どのような屋根が風に強いのか?」
「修復の際にコストが安いのはどんな屋根か?」

という風に、屋根材に対する関心は高まっています。それでは、実際にどんな屋根材を選択すればいいのでしょうか?即答するのはなかなか難しい問題です。屋根材には陶器瓦やスレート、ガルバリウム鋼板など、様々なタイプや素材がありますし、工法によっても違いが生じます。最も最適な屋根材を選ぶためには、それら屋根材の特徴や長所、短所などを知っておくと良いでしょう。この記事は、屋根材を選ぶ際に重要なポイントや、屋根材の種類や特徴を詳細にご紹介しますので、『失敗しない屋根材選び』に役立てて頂けたら幸いです。

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目次

1.どんな屋根材を選べばいいの?

冒頭でも述べたように、家にとって屋根というのは非常に重要な要素なのですが、普段はあまり目に触れることがないので見過ごされやすい部分でもあります。将来、自分の家を持ちたいと考えている人は沢山いらっしゃると思いますが「どんな屋根の家にしたいですか?」と尋ねても具体的に言えるケースは少ないでしょう。もし和風建築の家を考えてる人なら真っ先に思い浮かぶのは灰色の瓦屋根ですが、最近は新しい屋根材が色々と開発されています。伝統的な陶器瓦に加えてスレートやガルバリウム鋼板など、選択肢の広がった今だからこそ、屋根材は慎重に選ばなければなりません。それではあなたのニーズに合った屋根材を選ぶためのポイントを考えてみましょう。

1-1.耐久性

屋根材にとって最も重要なのは耐久性です。一年365日、常に太陽や雨風にさらされる部分ですから、長い年月が経っても劣化しないことが要求されます。大切なマイホームを自然の脅威から守るためにも、様々な屋根材の特徴や耐久性についての知識は持っておく必要があるでしょう。

1-2.遮熱・断熱性

屋根にダメージを与えるのは雨や風だけではありません。太陽の紫外線や、暑さ寒さなど温度の変化からも建物を守らなければなりません。遮熱性能断熱効果の高い屋根材を選択することは快適な生活を保つだけでなく、冷暖房費の節約にもつながり、エコロジーにも貢献します。

1-3.防音性

マンションなどの集合住宅は壁や天井、床材が防音性を左右しますが、戸建て住宅の場合は屋根材の種類が防音性に直結します。従来の瓦屋根では気にならなかったのに、新しい屋根に変えた途端、雨の音が反響して聞こえるケースもあるのです。屋根材を選ぶ場合は防音性も考慮しなければなりません。

1-4.防水性

台風や豪雨の被害が増加している昨今、水に強い屋根材を選ぶことは必要不可欠です。もし住宅の内部へ水が浸入してしまうと、天井や壁紙、家具や家電にダメージを及ぼすだけでなく、建物自体の耐久性に影響を与える場合もあります。したがって快適な生活を長く続けるためには屋根の防水性は軽視できない要素なのです。防水性を謳う屋根材も流通していますが、防水機能は永遠に持続するのもではありません。メンテナンスのやり方によっては数年で防水性が失われるケースもあるので、お手入れ方法についても留意して選びましょう。

1-5.経済性

カタログなどを見て、「この屋根がいい!」と思っても、いざ見積もりをお願いするとその価格に驚いてしまう事があります。普段は意識しませんが、屋根というのはかなりの面積がありますから選ぶ屋根材によって費用が大きく異なります。1㎡あたりの価格差は少しでも、実際に施工するとなると大きな差が生じます。予算に限りがある場合は、機能やデザインに加え、コストパフォーマンス面も念入りにチェックして、最適な屋根材を選んでください。

1-6.デザイン性

家の屋根というものは住んでいる人には見えませんが、通りかかった人にはよく見える部分です。人間にたとえればヘアスタイルみたいなものですので、お洒落な方はこだわりたいところでしょう。最近は新しい素材も開発され、色だけでなくデザインの選択肢も驚くほど広がりました。新築の人も、リフォームで新しい屋根にする人も、機能性だけでなく少しでも格好の良い屋根にしたい傾向にあります。

1-7.施工性

最近は複雑な形の屋根にも対応できる屋根材が出回っています。薄いシート状になっていて、自由にカットできる屋根材なら、凝ったデザインの屋根でも施工できますので、外観にもこだわりたい方は、施工性にも着目してください。

1-8.防災性

日本は台風に加え、地震大国とも言われるほど地震が多い国です。それら自然災害に立ち向かうためには耐風性は勿論、耐震性も要チェックです。お住まいの地域や気候、ご自宅の建築基準を考慮して最適な屋根材を選択するのが重要です。

1-9.耐火性

大きな地震が起きた場合、火災が発生するケースもあります。もし火災が起きた場合でも、屋根材に耐火性があれば建物全体に炎が広がるのを遅らせることができ、避難の時間が稼げます。また周辺への延焼を食い止める可能性が高くなり、被害を軽減できます。

1-10.メンテナンス性

最近は様々な素材の屋根材が商品化されていますが、素材によって耐久性も異なります。屋根は常に過酷な状況に晒されているため、経年による劣化は避けられません。たとえ屋根の表面は大丈夫でも下地部分がボロボロになるケースもあります。見えない部分の劣化は見落としがちで、雨漏りがしてから気付く場合もありますので、屋根材は定期的なチェックとお手入れが大切です。屋根材を選ぶ際は、何年ごとのメンテナンスが必要なのか、劣化した場合はどうなるのかについても調べておきましょう。

ここまで簡単に分類してみましたが、上記で説明した以外にも屋根材の種類は多く、それぞれに違った特徴があるため、一長一短があります。また、施工方法によっても最適な屋根材は異なってきます。ここからは様々な屋根材の種類や特徴、コスト面なども詳細に検討していきましょう。

2.屋根材の種類・特徴・コストは?

2-1.耐久性抜群! 世界遺産の建築物にも使用されてきた「瓦」

和瓦

日本人なら屋根と聞いて真っ先に連想するのは瓦屋根でしょう。陶器製の日本瓦は粘土瓦や陶器瓦とも呼ばれ、千年以上も前から使われてきた建築材料です。飛鳥時代に作られた瓦が現存していることからも分かるように、気候による劣化はほとんどなく、半永久的な耐久性を誇ります。

断熱性通気性に優れ、高温多湿な日本の気候には最適な屋根材だといえるでしょう。日本瓦は和風の住宅に最もマッチするのは当然ですが、近年では西洋風の建物にもフィットする波型の洋瓦(F形瓦・S形瓦)が販売されていますので、お好みに合わせてチョイスできます。

陶器製の瓦は耐久性に優れている反面、「重い」という欠点もあります。そのため、耐震設計がきちんとされている家が条件です。最近は屋根材の中で瓦の占める割合がやや減少傾向にあったのですが、従来のものより軽量な「防災瓦」が開発されたことで、日本瓦の価値が見直されています。

リフォーム(葺き替え)費用

約9,500円/㎡~

<費用に含まれるもの>
屋根材、施工費、防水シート(ルーフィング)、足場設置、瓦巻き上げ機、運搬費、残材処理費、古屋根材撤去費
※既存屋根の下地が痛んでる場合は、別途下地工事が必要となります。
※2004年迄のスレート屋根をリフォーム(葺き替え)する場合は、別途アスベスト処理が必要となる場合があります。

<費用に含まれてないもの>
足場設置費 850円/㎡
※周辺環境、屋根の種類によって設置が必要となります。

長所

・瓦と下地との間に空気の層があるため、断熱性に優れている。
・防音性も高いので、雨音や周囲の雑音が気にならない。
・割れない限りは半永久的に使えるほど頑丈。

短所

・瓦が痛まなくても下地や漆喰部分は痛みやすく、定期的なお手入れが必要。
・重量があるため、耐震設計がきちんとされている家が条件。
・初期コストが他の屋根材と比べるとやや高い。

2-2.コスパに優れ、オールマイティな「スレート」

花華 北部店様

従来の日本瓦の欠点を改良したのが『スレート』です。「カラーベスト」や「コロニアル」などという商品名で販売されているこの新型瓦は、主成分がセメントなので陶器製の瓦より軽いという特徴があります。そのため耐震性が高く、熱にも強いので新築住宅に最も採用されている屋根材です。施工も容易で、価格も安く、種類が豊富なことも人気の理由です。勿論、デメリットもあります。

素材自体が水に強い陶器瓦と違い、スレートは表面にアクリル樹脂を塗布することで防水効果を得ているため、塗装面が劣化すると防水性が極端に失われます。防水性能が保たれるのは約10年とされているので、10年経つと再塗装などのメンテナンスを行う必要があります。またスレートは熱に強い反面、寒さに弱いという特徴があるので、北海道などの寒冷な気候には不向きな屋根材です。

リフォーム(葺き替え)費用

約7,500円/㎡~

<費用に含まれるもの>
屋根材、施工費、防水シート(ルーフィング)、足場設置、瓦巻き上げ機、運搬費、残材処理費、古屋根材撤去費
※既存屋根の下地が痛んでる場合は、別途下地工事が必要となります。
※2004年迄のスレート屋根をリフォーム(葺き替え)する場合は、別途アスベスト処理が必要となる場合があります。

<費用に含まれてないもの>
足場設置費 850円/㎡
※周辺環境、屋根の種類によって設置が必要となります。

メリット

・屋根材の中で最もコスパが高い。
・軽量で耐火性が高いため、地震に強い。
・施工しやすく、多くの種類があるので汎用性が高い。

デメリット

・経年によって防水性が失われるので、定期的な維持費が発生する。
・陶器瓦に比べて断熱性は落ちるので、夏は暑く、冬が寒いという特徴がある。
・防音性が低いので、雨音が気になる場合がある。
・低温に弱いので、寒冷地での使用は推奨されない。

2-3.耐久性と軽さが魅力。リフォームにも人気の「ガルバリウム鋼板」

城北瓦のガルバリウム屋根

ガルバリウム鋼板』とは、鋼板を芯にして、その上から亜鉛、アルミニウム、シリコンなどのコーティングを施した新素材です。この『ガルバリウム鋼板』というのは日鉄住金鋼板株式会社の商品名であり、略して「ガルバ屋根」や「軽量金属屋根」と呼ばれる事もあります。その他のメーカーからも「横暖ルーフ」(ニチハ)や「ガルテクト」(アイジー工業)という商品が発売されていますが、基本的には同じ種類の屋根材です。その中で一番有名な商品である『ガルバリウム鋼板』という名称が一般化したわけです。また劣化したスレート屋根の上に重ね葺きできるという特徴から、屋根リフォームにも多く採用されています。この鋼板はステンレスなどの金属屋根に比べると低価格で耐震、耐久性にも優れた屋根材ですが、塩害に弱く、雨音などが反響しやすいなどのデメリットもあります。

リフォーム(葺き替え)費用

約9,000円/㎡~

<費用に含まれるもの>
屋根材、施工費、防水シート(ルーフィング)、足場設置、瓦巻き上げ機、運搬費、残材処理費、古屋根材撤去費
※既存屋根の下地が痛んでる場合は、別途下地工事が必要となります。
※2004年迄のスレート屋根をリフォーム(葺き替え)する場合は、別途アスベスト処理が必要となる場合があります。

<費用に含まれてないもの>
足場設置費 850円/㎡
※周辺環境、屋根の種類によって設置が必要となります。

メリット

・カバー工法と呼ばれる重ね葺きに対応した屋根材なので、リフォームに最適。
・下地との間に空間を設けられるので、寒冷地にも施工できる。
・耐久性に優れ、長期間の使用に耐えうるのでランニングコストが安い。
・瓦屋根に比べて格段に軽いため、地震にも強い。

デメリット

・ベースが金属なので塩害に弱く、沿岸部に施工した場合は耐久力が損なわれる。
・スレートと比較するとややコストが高い。
・表面は傷に弱い。
・強い雨が降ると音が反響しやすい。
・常に水に浸かった状況下には向かないので、勾配の少ない屋根への施工は推奨されない。

2-4.デザインの自由さで人気の新素材、「アスファルトシングル」

アスファルトシングル

シート状の屋根材である『アスファルトシングル』は、アメリカで80%という圧倒的シェアを誇る新素材です。人気の理由は様々な形状、デザインの屋根に対応できるということです。シート状という特性を最大限に生かし、ハサミやカッターで切って下地に貼り付ける施工の自由度が高い屋根材です。瓦屋根と違って軽量ながらも、防水、防音性にも優れ、耐久性もある素材です。また、『アスファルトシングル』は屋根のリフォーム(葺き替え)の際に既存の屋根(スレート)を残したまま、その上から貼り付けるカバー工法ができ、今後屋根リフォーム注目の屋根材とも言われています。

リフォーム(葺き替え)費用

約8,000円/㎡~

<費用に含まれるもの>
屋根材、施工費、防水シート(ルーフィング)、足場設置、瓦巻き上げ機、運搬費、残材処理費、古屋根材撤去費
※既存屋根の下地が痛んでる場合は、別途下地工事が必要となります。
※2004年迄のスレート屋根をリフォーム(葺き替え)する場合は、別途アスベスト処理が必要となる場合があります。

<費用に含まれてないもの>
足場設置費 850円/㎡
※周辺環境、屋根の種類によって設置が必要となります。

メリット

・施工が自由なシート状なので、様々な形の屋根にフィットする。
・耐久性に優れた素材で、防水性、断熱性、防音性も高い。
・重ね張り(カバー工法)によるリフォームにも対応できる。

デメリット

・接着剤を使用しているので、きちんと施工しないと耐久性に不安がある。
・施工経験がある業者が少ない。

3.オススメの商品とメーカーは?

3-1.「陶器瓦」のオススメ

城北瓦 屋根材紹介 栄四郎プラウドUU

★商品名「プラウドUU」(陶器瓦)
メーカー:栄四郎瓦株式会社

1801年創業の栄四郎瓦株式会社は国内最古の瓦メーカーです。日本建築の歴史とともに歩んできた同社は、陶器瓦の老舗であり、社名の「栄四郎瓦」は伝統的な陶器瓦のブランドとなっています。その栄四郎瓦株式会社が満を持してリリースしたのが「プラウドUU」。

陶器瓦の欠点と言われた耐震性を向上させるために「ハイパーゼット」という機構を取り入れた商品です。隣り合う瓦同士をジョイントフックでしっかり固定することで、耐震だけでなく耐風性も大幅にアップ。陶器瓦でありながら優れた防災性を実現させています。

3-2.スレートのオススメ

城北瓦 屋根材紹介 コロニアルグラッサ

★商品名「コロニアルグラッサ」(スレート)
メーカー:ケイミュー株式会社 

コスパを最優先に考えている方は、スレートが第一候補になるでしょう。その中でも特にケイミュー株式会社の「コロニアルグラッサ」はオススメです。ケイミュー株式会社は「ルーガ」と呼ばれる樹脂混入繊維補強軽量セメント瓦にも定評がありますが、費用が高くなります。この「コロニアルグラッサ」はリーズナブルなスレートでありながら、性能面でも妥協せず、高いバランスのコストパフォーマンスを実現しています。何といっても日本でトップシェアのメーカーが自信を持ってリリースした屋根材なので安心感があります。

3-3.アスファルトシングルのオススメ

城北瓦 屋根材紹介 リッジウェイ

★商品名「リッジウエイ」(アスファルトシングル)
取扱会社:旭ファイバーグラス株式会社 

流行に敏感で、デザイン性に優れた住宅がお好みの方なら、「アスファルトシングル」という屋根材は是非チェックしてください。その名の通りガラスとアスファルトを合わせた素材で、自由にカッティングできるため、あらゆる形状の屋根にフィットします。欧米では古くから使用されてきたこのアスファルトシングルは、日本では旭ファイバーグラス株式会社が販売代理店として取り扱っています。ヨーロッパの古い石造建築を連想させる艶消しの屋根材は、欧風の輸入住宅にピッタリですが、薄くて軽いシート状のため、劣化したスレートの上からも施工できます。そのためリフォーム用の屋根材としても需要が高まっているのです。

3-4.ガルバリウム鋼板のオススメ

★商品名「横断ルーフ プレミアムS」(ガルバリウム鋼板)
メーカー:ニチハ株式会社

ニチハ株式会社は住宅用建材の大手メーカーで、ガルバリウム鋼板の圧倒的シェアと実績を誇ります。独自のプレス技術を生かした屋根材を世に送り出してきました。その中でも画期的な屋根材として注目されているのが、ガルバリウム鋼板で作られた「横断シリーズ」です。革新的な屋根材として定評があった「横断ルーフS」から更なる進化をとげた「横断ルーフ プレミアムS」はフッ素樹脂遮熱鋼板を使用し、ガルバリウム鋼板の最大の弱点と言われた「塩害」に対する耐久性を大幅に向上。その結果、20年塗膜保証に加え、25年間の穴あき保証を実現しました。

まとめ

以上のように、日本の屋根材は伝統的な粘土瓦の時代から数々の天災の経験を肥やしにして、飛躍的な進歩をとげました。新素材の開発と創意工夫により、弱点を次々と克服した優れた屋根材が販売されているのです。しかし、それらの屋根材を施工するのはあくまでも「職人」。つまり豊かな経験と確かな技術を身につけた人々なのです。どれだけ高性能の屋根材でも未熟な職人が施工すれば、本来の持ち味を生かせず、耐久性が半減したり、雨漏りなどの被害が生じる可能性もあるのです。

きちんとしたメーカーでは、新しい素材を扱うための研修を行い、その研修を受けた業者のみに施工を認めるなどの厳格な制度を設けてます。ですから新築や屋根リフォームで屋根材を選ぶ場合、「どんな素材にしようか?」ということも大事ですが、きちんと施工できる」業者選びも重要です。特に屋根の葺き替え重ね葺き(カバー工法)を考えている方は、現状の下地の状態を把握した上で、防水工事や補強工事の必要性を見極める能力がある施工業者を選ぶことが大切だといえるでしょう。

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